


創業50年・世界3,000店舗超のグローバルビューティーブランドTHE BODY SHOP。台湾支社は30万人超のLINE友だちを保有しながら、購買行動につながる活性会員は5万人以下(アクティブ率16%以下)という構造的課題を抱えていた。クレッシェンド・ラボのMAACとCAACを導入し、6ヶ月で15,000名超の会員IDを新規紐付け、ブロック率5%以下・40店舗以上へのOMO実装を実現しました。組織変革を含む実装の全貌と、複数店舗をエンタープライズ規模で運営する企業のDXについて解説します。


創業50年・世界60カ国以上・3,000店舗超を展開する英国発のグローバルビューティーブランド。天然素材へのこだわり・動物実験不使用・ESGへの取り組みを企業理念の中核に据えてきました。しかし訴求内容が固定化されたことで、新規獲得を目指す若年層には「変化がない」「新鮮味がない」という印象を与えていました。ブランドの価値を現代に合わせて再定義し、デジタル上での訴求を刷新することが急務でした。

30万人超のLINE友だち基盤は適切に活用されれば強力なCRM資産となり得ます。しかし実態は、顧客属性・行動履歴・購買データが十分に蓄積・活用されておらず、全会員に対して画一的なメッセージを配信する運用が続いていました。これによりエンゲージメントの低下とブロック率の上昇を招いていました。
グローバル本部からはオンライン売上拡大を求められる一方、台湾市場では実店舗が売上の大部分を占め、オンラインとオフラインの顧客データが統合されていませんでした。さらに、長年対面接客で信頼関係を築いてきた店舗スタッフにとってデジタルツールの導入は「自分たちの仕事が変わってしまう」という不安を伴うもので、この組織的抵抗がOMO施策の実装スピードを大幅に遅らせていました。
私たちの最大の資産は、LINE公式アカウントの30万人超の友だちです。しかし大部分は購買行動を伴わない休眠状態にありました。クレッシェンド・ラボのツールを導入し、会員データの構造化と個別最適な配信を開始したことで、6ヶ月以内に15,000名以上の会員IDを新規紐付けし、ブロック率を5%以下に抑制することができました。OMOのサイクルが機能し始め、会員の活性度・客単価・リピート率に明確な改善が見られています。

これまで属性・行動データが体系的に管理されていなかった会員基盤に対し、MAACのタグ機能を活用して顧客属性を構造化しました。購買履歴・来店チャネル行動・アンケート回答・LINE上のエンゲージメント行動の4軸でデータを自動タグ付けすることで、「高購買頻度かつ実店舗利用者」「EC購買経験あり・店舗未訪問」「長期間未購買」といった多次元セグメントが自動的に生成・更新されます。

タグを基軸に、各セグメントに最適な自動配信シナリオを設計しました。長期未購買会員には専用クーポン+再訪問促進シーケンスを、新規友だちにはブランド価値訴求から初回購買へのステップシナリオを配信。スキンケア・ヘアケアは購買周期に合わせたリピート促進メッセージを、診断コンテンツやクイズ形式のキャンペーンでエンゲージメントを高めながら追加タグを取得します。また、LINE友だちとして存在しながら会員登録が完了していない顧客には優待特典を活用した紐付け促進施策を展開し、導入後6ヶ月で15,000名超の新規会員ID紐付けを達成しました。

CAACの導入により、LINEやWeb上で購買意欲が高まった顧客を、顧客情報・対話履歴とともに最寄りの店舗担当者へシームレスに引き継ぐ仕組みが実装されました。これまでオンラインでの問い合わせ対応と店舗スタッフとの間に情報連携が存在せず、「オンラインで相談してから店舗へ行く」という行動を取った際に接客履歴が途切れていた問題を解消。店舗担当者はCAAC上で顧客のLINE行動履歴・購買履歴・関心カテゴリを参照しながら接客でき、来店転換率と客単価の向上に寄与しています。
店舗スタッフの「自分たちの仕事が変わってしまう」という不安に対し、段階的な導入と成果の可視化を徹底しました。試験的に数店舗へ先行導入し、データ活用による売上改善効果を数字として提示することで、店舗スタッフ自身が変革の価値を体感できる環境を整備。これによりツールへの抵抗感を段階的に解消し、40店舗以上への組織全体への展開を実現しています。
THE BODY SHOPは現在、3つのAIソリューションの本格活用を計画しています。
まずCAAC AI AgentでブランドFAQや製品情報をナレッジベース化し、問い合わせの一次対応を自動化。感情・意図をリアルタイム分析し、複雑な問い合わせや購買意欲の高い顧客は自動的にスタッフへエスカレーションします。

あわせてDAAC AI Insightで蓄積された会員・購買・行動データを横断的に分析し、「どのセグメントに・いつ・何を訴求すべきか」という意思決定をデータドリブンで支援。LTV予測や施策効果のシミュレーションも可能になります。

さらにMAAC AI Journeyがスキンケア・ヘアケアなど購買サイクルの明確な商品に対して、個々の行動パターンに基づいた最適なリエンゲージメントシナリオを自動設計・実行。一度設定すれば担当者不在でも動き続ける持続型マーケティングが実現します。

本事例は4つの重要な示唆を含んでいます。
まず会員数よりもアクティブ率・タグ紐付け率を優先すること。LINE友だち数などの表層指標ではなく、購買行動と紐付いた会員基盤の規模こそが真のCRM資産です。30万人の名目上の資産を実質的なCRM基盤へ転換するプロセスが本事例の核心です。
またパーソナライズの前提は「データの構造化」にあります。多くの企業でパーソナライズが進まない最大の理由はデータの断片化と非構造化にあり、属性・行動・購買データの整理・タグ付けという基盤整備が先行して必要です。
OMO実装には「システム統合」と「組織変革」の両輪が不可欠であることも見逃せません。テクノロジー導入だけでは不十分で、スタッフのデジタルリテラシー向上・業務フロー再設計・成果の可視化による現場の変革受容性の醸成が同等以上に重要です。
最後にAI活用は「段階的な実装」から始めること。AI AgentやAIシナリオ配信は、会員・行動データが一定量蓄積されて初めて効果を発揮します。データ基盤とCRM活用の仕組みをまず整備し、その上でAIによる高度化を次フェーズに計画するのが実装上の最善策です。
クレッシェンド・ラボのAIソリューションを評価する中で、現場の業務プロセスに組み込める具体的な価値があると感じています。特にリピート購買が見込まれる商品を多く持つ我々のようなビジネスモデルには、AI Journeyが自動でカスタマージャーニーを設計・実行してくれることは、マーケティング効率の抜本的な改善につながると期待しています。






